5月5日のこどもの日が近づくと、お店に柏餅が並び始めます。
葉っぱに包まれた白いおもちを見ると、「どうしてこどもの日に柏餅を食べるの?」と気になる方も多いかもしれません。
柏餅は、子どもの健やかな成長を願って食べられてきた行事食です。
柏の葉にも意味があり、昔から縁起のよいものとして大切にされてきました。
ただ、子どもに伝えるときは、難しい由来を完璧に話さなくても大丈夫です。
「元気に大きくなってね、という願いが入ったおもちだよ」
このくらいの言葉でも、子どもには十分伝わります。
この記事では、こどもの日に柏餅を食べる理由、柏の葉の意味、子どもへの伝え方、小さい子に食べさせるときの注意点を、保育園栄養士の視点でやさしくまとめます。
こどもの日の柏餅は、成長を願う行事食
5月5日のこどもの日が近づくと、お店に柏餅が並び始めます。
白いおもちにあんこが入っていて、柏の葉で包まれている和菓子です。
見たことはあっても、「どうしてこどもの日に柏餅を食べるの?」と聞かれると、少し迷うこともありますよね。
保育園でも、柏餅の話をすると、子どもたちは中のおもちより先に葉っぱに興味を持つことがあります。
「この葉っぱ、食べるの?」
「なんで葉っぱがついてるの?」
「いいにおいがする」
こんな反応が出ることもあります。
柏餅は、ただの季節のおやつではなく、子どもの成長を願う行事食です。
でも、子どもに伝えるときは、難しい由来をそのまま説明しなくても大丈夫だと思っています。
「元気に大きくなってね、という願いが入ったおもちだよ」
このくらいの言い方でも、子どもには十分伝わります。
柏餅を食べるのはなぜ?
柏餅をこどもの日に食べる理由には、柏の葉の特徴が関係しています。
柏の木は、新しい芽が出るまで古い葉が落ちにくいといわれています。
そこから、「家が続く」「子孫が続く」「子どもが元気に育つ」という願いにつながり、縁起のよい食べものとして柏餅が食べられるようになったとされています。農林水産省の東海地域の和食文化に関する資料でも、柏餅は子孫繁栄を願う縁起のよい食べ物として紹介されています。
昔の行事食には、今よりも「願い」や「縁起」が強く込められていました。
今の家庭では、そこまで堅く考えなくてもいいと思います。
柏餅を食べながら、「昔の人は、子どもが元気に育つように願いを込めて食べていたんだよ」と話すだけでも、季節の行事として十分意味があります。
地域によっては、こどもの日にちまきを食べるところもあります。
柏餅だけが正解というより、地域や家庭によって楽しみ方が少しずつ違う行事食、と考えるとやわらかく伝えやすいです。
柏の葉にはどんな意味がある?
柏餅で子どもが一番気にしやすいのが、やっぱり葉っぱです。
柏の葉は、おもちを包むために使われます。
香りを楽しんだり、見た目に季節感を出したりする役割もあります。
また、柏の葉には保存に向いた性質があるともいわれています。昔は、今のような冷蔵や包装がない時代なので、葉で包むことにも生活の知恵があったのだと思います。農林水産省の資料でも、柏の葉について抗菌・防腐作用に触れられています。
ただし、家庭や保育園で子どもに伝えるときは、
「この葉っぱは、おもちを包んで香りをつけるためのものだよ」
「基本は外して食べるよ」
くらいが分かりやすいです。
葉っぱを食べるものとして扱うより、包むもの、香りを楽しむものとして伝える方が安心です。
子どもに伝えるなら、短い言葉で十分
柏餅の由来を子どもに話すとき、全部を正確に説明しようとすると少し難しくなります。
「柏の葉は新芽が出るまで古い葉が落ちにくくて、子孫繁栄の意味があって……」
大人には分かっても、小さい子には少し遠い話になりやすいです。
保育園で話すなら、このくらいが伝わりやすいと感じています。
子どもへの声かけ例
「柏餅は、こどもの日に食べるおもちだよ」
「元気に大きくなってね、という願いが入っているんだよ」
「葉っぱで包んであるのは、香りをつけたり、大切に包んだりするためだよ」
「葉っぱは食べずに外して、おもちを食べようね」
子どもにとっては、由来を全部覚えることよりも、
「自分たちの成長を願ってくれている食べものなんだ」
と少し感じられることの方が大切かもしれません。
行事食は、正しい知識を覚えるためだけのものではありません。
「見た」「触れた」「においをかいだ」「みんなで話した」
そんな経験も、食育の一つだと思います。
お便りや行事計画で使うなら
園だよりや給食だよりで短く書くなら、次のような言い方が使いやすいです。
お便りに使いやすい文章例
例1
柏餅は、こどもの日に子どもの健やかな成長を願って食べられてきた行事食です。
柏の葉は、新しい芽が出るまで古い葉が落ちにくいことから、家族や子どもの成長を願う意味につながったといわれています。
柏餅を見かけたら、「元気に大きくなってね、という願いが入ったおもちだよ」と話してみてください。
葉っぱの形や香りにふれながら、こどもの日の話を少し楽しむだけでも、季節を感じるきっかけになります。
※おもちは年齢や食べ方によって、のどに詰まりやすい食べものです。小さいお子さんに食べさせる場合は、ご家庭の判断で無理のないようにしてください。
例2
こどもの日が近づくと、柏餅を見かけることが増えてきます。
柏餅は、子どもたちの健やかな成長を願って食べられてきた行事食です。
葉っぱに包まれた見た目も特徴的で、子どもたちは「この葉っぱは食べるの?」「どうして包んであるの?」と興味を持つことがあります。
難しい由来をすべて伝えなくても、
「元気に大きくなってね、という願いが入ったおもちだよ」
という言葉で、子どもたちには十分伝わります。
ご家庭でも、季節の食べものにふれるきっかけとして、こどもの日の話を楽しんでみてください。
行事計画に入れるなら
実際に柏餅を食べない場合でも、写真やイラストを見せたり、柏の葉の香りや形に注目したりするだけでも行事の雰囲気は伝わります。柏の葉は、この時期になるとスーパーなどでも見かけることがあります。
子どもたちも「この葉っぱは何?」と気になりやすいので、こどもの日の話を始めるきっかけにしやすいです。
桜餅と柏餅を比べて、「葉っぱが違うね」と話してみるのも、行事食に興味を持つ入り口になります。
特に小さい子の場合は、おもちを食べる活動にこだわらなくても大丈夫です。
「こどもの日には、子どもの成長を願う食べものがあるんだよ」と知るだけでも、十分食育になります。
保育園や家庭では、葉っぱに興味を持つ子も多い
保育園で柏餅の話をすると、子どもは由来よりも見た目に反応することが多いです。
「葉っぱがついてる」
「おもちが隠れてる」
「いいにおい」
「これは食べられるの?」
大人が思っているより、子どもは細かいところをよく見ています。
こういう反応があると、無理に長い説明をしなくても、そこから食の話につなげやすいです。
「葉っぱで包んであるね」
「昔の人は、食べものを大切に包んでいたんだね」
「今日は、元気に大きくなってねっていう日だよ」
このくらいの会話でも、子どもには行事の雰囲気が残ります。
実際には、由来よりも「葉っぱのおもちを見た」「みんなでこどもの日の話をした」という記憶の方が残ることもあります。
それも、行事食の大事な役割だと感じています。
家庭で柏餅を楽しむときの考え方
家庭では、無理に手作りしなくても大丈夫です。
買ってきた柏餅を一緒に見るだけでも、季節を感じるきっかけになります。
食べる前に少しだけ葉っぱの香りをかいでみたり、「この葉っぱは何のためかな?」と話したりするだけでも十分です。
小さい子がいる家庭では、柏餅を大人が食べて、子どもには別のおやつにする形でもいいと思います。
こどもの日の行事食は、全員が同じものを食べることだけが目的ではありません。
家族で「元気に大きくなってね」と話すこと。
季節の食べものを見てみること。
それだけでも、家庭の中の小さな食育になります。
小さい子に食べさせるときの注意点
柏餅はおもちを使った食べものなので、小さい子に食べさせるときは注意が必要です。
おもちは粘りがあり、年齢や食べ方によってはのどに詰まりやすい食べものです。
消費者庁も、子どもの食品による窒息事故を防ぐために、食べ物を小さく切ること、食べやすい大きさにすること、よくかんで食べさせることなどを注意点として示しています。
園では、年齢に合わせて大きさや薄さを調整することもあります。
ただ最近は、無理にもちもちしたものを出すより、別の形でこどもの日らしさを楽しめないか考える園も増えているように感じます。
たとえば、柏餅風のパン、米粉パン、緑色を少し入れた蒸しパン、どら焼き風にあんこをはさんだおやつなどです。
昔と同じ形にこだわるより、安全に配慮しながら、行事の雰囲気を伝える形に変わってきているのだと思います。
家庭では、次の点を意識すると安心です。
・小さい子には無理に食べさせない
・食べる場合は、年齢や噛む力に合わせる
・大きいまま口に入れない
・遊びながら、歩きながら食べない
・必ず大人が近くで見る
・家庭の方針に合わせる
また、柏の葉は基本的に外して食べるものとして扱うと分かりやすいです。
子どもには「葉っぱは包むためのものだよ」と伝えておくと安心です。
行事食は楽しいものですが、安全面は別です。
「せっかくの行事だから食べさせたい」と思うこともありますが、小さい子には見るだけ、話すだけでも十分だと思います。
家庭で話すきっかけになる本や道具
こどもの日の話を家庭で広げたい場合は、絵本や行事のイラストがあると話しやすくなります。
たとえば、こどもの日や端午の節句の絵本、季節の行事をまとめた本などは、由来を大人が全部説明しなくても、子どもと一緒に見ながら話せます。
また、柏餅を食べることにこだわらず、こいのぼりの飾りを見たり、こどもの日の食べものの写真を見たりするだけでも十分です。
商品を選ぶ場合も、「これが正解」というより、家庭で話すきっかけになるものを選ぶくらいがちょうどいいと思います。
保育園栄養士としてのひとこと
柏餅は、由来をきちんと説明しようとすると少し難しい行事食です。
でも、子どもにとって大切なのは、完璧に覚えることだけではありません。
「自分たちの成長を願ってくれる日がある」
「季節の食べものがある」
「葉っぱで包まれたおもちを見た」
そんな小さな経験が、あとから季節の記憶として残っていくのだと思います。
家庭では、無理に全部そろえなくても大丈夫です。
柏餅を見かけたときに、少しだけ話す。
食べられる年齢なら、安全に気をつけて楽しむ。
まだ難しい年齢なら、見るだけにする。
それくらいでも、こどもの日の食育として十分だと感じています。
また、柏餅単体の話というよりも、こいのぼり集会でこどもの日の由来を話すときに、少し追加する形でも使いやすいです。
おやつの時間や掲示物で少しふれるだけでも、子どもたちには十分伝わることがあります。
実務では、毎年同じような話になることもあります。
でも、初めて聞く子どももいますし、新しく入った先生にとっても、改めて知る機会になります。
だからこそ、毎年くり返しながら大切にしていきたい行事食の話だと感じています。
まとめ
柏餅は、こどもの日に子どもの成長を願って食べられてきた行事食です。
柏の葉には、新しい芽が出るまで古い葉が落ちにくいことから、子どもの成長や家族が続くことへの願いが込められてきました。
子どもに伝えるときは、難しい由来をすべて話さなくても大丈夫です。
「元気に大きくなってね、という願いが入ったおもちだよ」
このくらいの言葉でも、十分伝わります。
ただし、おもちは小さい子にはのどに詰まりやすい食べものです。
年齢や噛む力、園や家庭の方針に合わせて、無理に食べさせないことも大切です。
柏餅は、食べるだけでなく、見る、香りを感じる、話すだけでも季節の経験になります。
こどもの日には、柏餅をきっかけに、子どもの成長を願う時間を少し作れたらいいですね。

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